耽溺愛ークールな准教授に拾われましたー

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本当だったら今日は怜と水族館に行くはずだった。
普段は近所の喫茶店でアルバイトをしている美寧は、私立大学で働く怜と休みが同じになるわけではない。
三日前の夕食後、テレビを観ながらたまたま水族館のCMが流れ、『行ったことがない』と言う美寧に、怜が一緒に行ってみようか、と誘ってくれたのだ。

美寧が勤める喫茶店のマスターに休みを貰えるか聞いたところ、優しいマスターは快くお休みをくれ、『デート、楽しんでおいで』と言ってくれた。

自分が思っていた以上に今日のお出かけを楽しみにしていたのだ、と気付いたのは、怜が出勤していった後。

怜からのドタキャンを聞いた直後は、頭を殴られたような衝撃に耐えるのに必死で、完全に思考が止まっていた。ショックでいつもなら真っ先に食べてしまうスクランブルエッグも喉を通らなかったくらいだ。

ハッと我に返ったのは、玄関で怜の『いってきます』の声を聞いた後だった。
いつもなら元気よく『いってらっしゃい』と送り出すのに、その言葉すらかけられなかったことを、怜が行ってしまってから激しく後悔した。

(れいちゃんはお仕事なのに、遊びに行けなくなったくらいで落ち込んだ私のこと、わがままだって怒ってるかと思った…)

彼が行ってしまってから、昼間はずっとそのことばかりが気がかりだったのだ。家に居てもモンモンとしてしまう上に、時々行けなかった水族館のことを思い出しては落ち込んでしまうので、何をするのも手に着かず、結局近所にあるバイト先に顔を出したのだった。

落ち込んだ顔で現れた美寧に、マスターは何も聞かずに美味しいコーヒーを淹れてくれ、バイトに入ると言い張る美寧をやんわりと諭して、たまたま来ていた彼の妻の話し相手を言いつけられた。

マスターの奥さんは喫茶店の仕事には関わっておらず、時々お客さんとしてコーヒーを飲みに来る。明るくて知識の豊富な彼女と話すのが美寧は大好きだ。そんな奥さんと話をしているうちに、美寧の気持ちも幾分マシになったのだった。

たっぷりとお喋りをした後、暑い日差しの中を歩いて家に帰ってきた美寧はちょっと休憩と、ソファーに横になった。そのまましっかりと夕寝をしてしまい、起きたら大汗をかいていて急いで風呂に入ったのだ。そうこうしている間に怜が帰宅し、今に至る。


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