旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
「そう、なのかな」

もし本当なら、嬉しいことだけど……。どうなんだろう。

腑に落ちないでいると、玲子は痺れを切らした。

「いいじゃん、好きって気持ちだけで! あの門脇部長に好きになってもらえただけで奇跡だと思わない? 彼は、ずっと独身でいると思っていたもん」

プロポーズされて、好きになってもらえただけで玲子の言う通り奇跡なのかもしれない。

「まずは芽衣の気持ちを、門脇部長に伝えることが大切なんじゃないかな? 私は好きって気持ちも愛する気持ちも変わらないと思うよ」

そうだよね、まずは自分の気持ちを伝えるべきなのかも。惹かれているって。それにもっと同じ時間を共に過ごせば、信頼関係を築けていけるはず。それから聞いてもいいんじゃないかな。

俊也さんの好きと愛の違いはなんですか?って。今はまだとてもじゃないけれど聞けないもの。

「ありがとう、玲子。おかげですっきりした」

「それはよかった。……私たち友達でしょ? なにかあったら、遠慮しないでいつでも相談してよね。話ならいくらでも聞くから」

「……うん」

本当に玲子がいてくれてよかった。

「玲子もなにかあったら、いつでも連絡してよ?」

上機嫌で食べ進める玲子に声を掛けると、彼女は嬉しそうに顔を綻ばせた。

「ありがとう。じゃあなにかあったらすぐに芽衣に連絡するから、駆けつけてきてね」

「了解」

お互い顔を見合わせて笑い合った。
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