旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
俊也さんに今の私の気持ちを伝えよう。と決心したはいいものの、いざ本人を目の前にすると言い出せないもの。

それに好きと認識していないのに、告白するのもどうなの? と思い始め……。結局なにも伝えることができないまま、一週間が過ぎた。

この日は朝から棚替えに向けて店舗回りをしていた。十九時を過ぎた頃にやっと最後の店舗に着いた。

店全体をチェックしながら見て回り、自分が担当するスキンケア、メイクの商品が並べられている棚を確認する。

うん、ここも綺麗に陳列されているし欠品もない。大丈夫だね。

すべての確認を終え、最後に事務所で店長と話をしていた。

「それでは明後日、メーカーと共に棚替えに伺いますね」

「わかりました、よろしくお願いします」

明後日の話をして事務所を出た時には、二十時を回っていた。

そういえば俊也さんに遅くなるって伝えていなかった。

店舗と事務所を繋ぐ内廊下で足を止めて、バッグの中からスマホを取ろうとした時、ある物が目に入る。

「あ、棚割り表……!」

肝心なものを店長に渡すのを忘れていた。

踵を返して事務所に戻っていくと、店長ともうひとりの話し声が聞こえてきた。
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