旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
彼の制止を押し切って、ハンバーグらしきものを一口食べる。見た目以上に内部まで焦げていて、口いっぱいに苦みが広がる。

だけどなぜか美味しく感じる。なにより嬉しくて目頭が熱い。

「まずいだろ? 大丈夫か? あ、水……!」

慌てた様子で俊也さんはコップに水を注ぎ、私に差し出した。だけど私の顔を見た瞬間、彼は面白いほど狼狽え出した。

「やっぱり泣くほどまずかったんだな! すまない、こんなものを作ってしまい」

「いいえ、違うんです」

急いで涙を拭い、素直な思いを伝えた。

「料理ができないって言っていたのに、私のために作ってくれたのが嬉しくて。美味しいです、俊也さんの料理」

「芽衣……」

今まで食べたどの料理よりも美味しいよ。俊也さんの気持ちがこもった料理だからこそ余計に。

すると俊也さんの頬や耳は、赤く染まっていった。

「え……俊也さん?」

これはえっと……照れているんだよね?

初めて見る意外な一面に、視線が釘づけになる。

「……っ見るな」

そう言うと彼は腕で顔を隠したものの、当然隠しきれていない。いまだにばっちり照れた顔が見えちゃってる。
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