旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
俊也さんに好きって伝えたら、玲子に一番に報告しないとね。そのためにも早く仕事を終わりにして帰ろう。

オフィスに戻り、急いで仕事に取りかかり、終わったのはそれから三十分後。残っている同僚に挨拶をして退社した。

玄関へ向かいながら、明日なにを作るか考える。

これまで作った中で、特に美味しいって言ってくれたものを作ろうかな。できればデザートも作りたいよね。意外と俊也さんって、甘い物が好きみたいだし。

アレコレ考えながら玄関を抜けたところで、声を掛けられた。

「姫野芽衣さん、でしょうか?」

名前を呼ばれ足を止める。そのまま声がした方へ視線を向けると、私と同い年くらいの綺麗な女性が立っていた。

さっき私の名前を呼んだよね? だけど彼女が誰だかわからない。

「……はい」

戸惑いながらも返事をすると、彼女は意味深なことを言った。

「あなたに彼……俊也さんのことでお話したいことがあるんです。少しお時間いただけませんか?」

ドクンとなる胸の鼓動。

なんだろう、どんな話? でも彼女から敵意は感じられない。
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