旦那様の独占欲に火をつけてしまいました~私、契約妻だったはずですが!~
簡単に人は自信を持つことなど、できないと思う。……だけど織田先輩が私のためにしてくれたことを、無駄にはしたくない。

せめて仕事だけは少しでも自分に自信を持ちたい。そうすれば自然と、どんなことにも自信を持てるような気がするから。

門脇部長との結婚はもう決めたこと。今はただ突き進むしかないよね。

私より少しだけ小さい織田先輩の背中を見つめながら、自分を奮い立たせた。



そして迎えた入籍当日。
彼に迎えに来てもらい、ふたりで向かった先は都内の市役所。

「はい、たしかに受理いたしました。えっと……おめでとうございます」

婚姻届けを窓口に提出すると、祝福の言葉が贈られた。しかし職員の視線はチラチラと、私たちの背後の人物に向けられている。

「うっ……うっ。相手が俊也というのが気に食わないが芽衣、おめでとう」

必死に涙を拭いながら私の入籍に感動しているのは、お兄ちゃんだ。職員はますます困惑している。
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