残酷なこの世界は私に愛を教えた
「あー疲れたー」
大きく息を吐きながら伸びをする隼人。
三年生だから、受験勉強が大変なんだろうな。
「ねえ、こんなに私来てていいの? 勉強の邪魔してない?」
「良いんだよ、俺が呼んでるんだし。それに、愛珠は俺の癒しなの」
隼人がそう言いながら私の頭に手を置きながら、ニッと笑う。
――ドキッ
え、……ええ! 何その笑顔……! 破壊力……。
「そ、それはありがとうございます……」
心臓の音を無視して、なるべく自然に体を隼人の手が届かない所まで後ろに倒す。
その後、隼人はまた勉強を再開し、私も持ってきた一問一答集を広げた。
少し経って、シャープペンの音が聞こえないので隼人に見ると……。
あれ!? 寝てる!?
綺麗な姿勢を保ったまま動かなくなっていた。
これは、寝てるよね?
まあ確かに、この時間は眠くなるよね……。
その時、ふっと彼が目を開ける。
「隼人? ほら、こっちで横になって寝ちゃいなよ」
「うー……」
私が座っている、椅子ではない細長いソファをポンポンと叩くと、隼人は眠そうに目を擦りながらこちらに来る。
その姿が何だか幼稚園生みたいで、笑ってしまう。
「おっと、ちょっとしっかりしてよ」
倒れ込むようにソファに転がり込んできた、と思うと私の足の上に頭をのせる。