残酷なこの世界は私に愛を教えた
「あっ……じゃあ、そうするね! 私次の授業の課題やるの忘れてたから戻るね! 先輩、食べ終わったら2の8まで持ってきて貰えますか?」
「あっ、麻由子?」
麻由子は少し早口で中田先輩言って出ていってしまった。
取り残された私達はポカンとあっけに取られていた。
少しして中田先輩と隼人がクックッと笑い出す。
「あの子面白えー。課題終わらせとけよー」
「楽しい奴だな」
私もつられて笑ってしまう。
だけど何か引っ掛かる。
去り際のあの暗い顔。一瞬だったが、私は見逃さなかった。
なぜ麻由子はあんな寂しそうな顔をしたのだろうか。
分からない。
それとも私の気のせいだろうか?
何故かずっとその顔が頭に残っていた。