旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
「ああそうだ、未彩さん」


振り返ると彼が急にベッドへと戻ってくるから焦った。
顔を上げるとベッドに手を付いた彼が近づき、ふわっと柔らかい風をはらんで頬に何かが触れていった。



「行ってきます。お大事に」


なるべく早く帰るから、とベッドから離れていく皆藤さん。

昼食は冷蔵庫にあるものを適当に食べて、と言うと雑炊が乗ったトレイを持ち上げ、さっさと部屋を後にした。


パタン…と閉まるドアを見送ったまま、私は暫く何も考えられず、一時経ってからハッと我に返り__。



(今、またキスされた…)


さらりとさり気なく彼が触れていった。

まるで昨日のキスで距離が急に縮まったように、触れるも手つきも不自然じゃなく、緊張とかも何も感じずに流されてしまった。



(きゅ…、急だったから)


そう自分に言い訳しながら弾みだす心臓の音に耳を傾ける。

そのまま何も考えられずにベッドへと沈み込み、心音が落ち着いてくるのを待ち続けてしまった__。



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