旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
(もっと側に居て、と願いたくなるから。一人にしないで、と昨夜みたいに願いたくなるから)


キュン…と軋む胸の痛みを感じて首を振る。
彼は今朝、早く帰ると言ってくれたんだし、その言葉通りに帰って来てさえくれればそれでいい。


(私は打算で結婚決めたような人間だもん。贅沢なんて言っちゃダメだ)


自分が独占できる様な人じゃないと思い始めて気落ちする。

どうしてあんな素敵な人のプロポーズに乗ってしまったんだろうと改めて後悔を始め、落ち込みながらベッド上で一日を過ごした。


夕方近く、皆藤さんから電話があった。
そろそろ帰るよ、と嬉しそうに言う彼は、食欲はある?と訊ねてくる。


「えーと、あんまり」


なんだか胸がいっぱいでお昼も大して食べれなかった。
折角、皆藤さんはサンドイッチとかシチューとかを作って、冷蔵庫に入れてくれてたのに。


「そうか。でも、何か食べないと」


電話口の向こうから賑やかな音楽とか話し声が聞こえる。
呼び込みの声なんかも入ってくるし、何処か賑やかしい場所に彼はいるみたいだ。


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