旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
そう呟くと、彼の目線が私に向く。

その真っ直ぐで力の強そうな眼差しに射止められると胸が鳴り、ええと…と誤魔化しながら目線を逸らせ、懐かしい祖母のことを教えた。


「私のおばあちゃん、田舎で一人暮らしをしてるんですけど、とっても花が好きで、いつも色んな種類を庭に植えてるんです。
私、子供の頃は毎年避暑を兼ねて遊びに行ってたんですが、そこでおばあちゃん、いつも花や木について、いろんな事を教えてくれて……」


それが多分、庭づくりに興味を持つことへの発端となった。
祖母と過ごした夏休みがなかったら、きっと今の仕事には就いてないと思う。


ジージーと鳴く蝉の声と青い空。
白い入道雲や黄色の向日葵といった夏の風物詩を思い起こしながら、汗をかきつつも懸命に花の水遣りを続けていた祖母のことを思い返した___。



「酒井さんは、そのおばあちゃんのことが大好きなんですね」


優しい声に目を上げて頷くと、向かい側に座ってる彼は微笑み返して、ふぅん…と意味深に声を漏らし、じぃっとしたまま何かを考え込みだした。

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