旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
疑心暗鬼が理由で結婚生活が終わるなんてこと、無いで欲しい。

そんな不安を膨らませながら、彼に連れて行かれた場所は……。




「え…、此処?」

「そう。此処だよ」


私達の前には、フィットネスクラブの看板を掲げたビルが建ってる。
駅に近いせいか、そこへ入る人もまだ多くて、これからヨガでもするのかと思う様なマットを持って入って行く人も見かける……。


ぽかんと呆気に取られて看板を眺める。
ヨガだけでなく、どうもスポーツジムも併設してるみたい。


「此処で一体何を?」


つい疑問を感じて彼を振り返った。
此処で一体何をやったら、あの香りが身に付くのか。


「…俺、この最近、此処のジムに入会したんだ。自分の体を鍛える為と、それから体力づくりを兼ねて」

「え?」

「いや、違うな」

「はあ?」

「単純に負けたくなかっただけかな、あいつに」

「あいつ?」


誰…と声を潜めて彼を見上げる。
皆藤さんは私に目線を落とすと微笑み返し、「君の同僚」と呟いた。


「克っちゃん…て言ったっけ、あいつ」

「ええっ?克っちゃん?」


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