旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
一階のラウンジは外のデッキテラスへも出られるように設えてあった。
それで私達はホットワインを手にして、デッキテラスにあるテーブル席へと移動した。

椅子に座ると目の前には小川が流れ、せせらぎと闇とオレンジ色の明かりに包まれた空間は、どこか幻想的な雰囲気に包まれてる。

キョロキョロと目線を走らせると足元には小さなランプの明かりが点々と続き、まるで日本ではない様な気分もしてくる。


(素敵……こんな所が日本にもあるんだ…)


贅沢な空間だなと思うと、もう二度とお目にかかれないかも…という気持ちもする。
それでこの雰囲気とか贅沢な瞬間を忘れないでおこうと思い、じっと目を向けてその景色を見つめた。



「……いい所だな」


同じように感じたのか、溜息を漏らすように囁く皆藤さん。
その瞬間、私は彼が側に居たことを思い出し、(そうだ!景色に浸ってる場合じゃない!)と気を引き締め直す。

目を向けるとワインの湯気の向こう側に頬杖をつく旦那様の姿があり、その目線はじっと川の方を見つめて、物憂げな様子で浸ってる。



(こういう場所で見てもカッコいいな…)


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