旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
こんなに素敵なサプライズが次から次へと起こるともう感覚も麻痺してしまう。

頭もクラクラしながら歩き回されて、最後に「こちらへどうぞ」と言われる場所へと向かった。


長い廊下の先にある焦げ茶色の扉を開けると、目の前には大きな祭壇。
白い十字架が上で神々しく輝き、その下では濃いめのアイスグレーのタキシードを着た旦那様が待っている。


手には白とグリーンのバラが基調になったブーケを持ち、そこへ私が来るのを今か今かと待ちわびるかの様に見つめてる。


その姿を視界に収めながら胸を高鳴らせて歩み、彼からブーケを手渡されて受け取った。



「可愛い。まるで花の妖精みたいだ」


ブーケと同じバラをコサージュにして髪に付けてたからだろう。
そんな風に形容する彼に頬を染めながら肩を竦め、一緒に撮影に臨んで誓いのキスを交わした。


私は改めて彼と夫婦になった様に思った。
既に指には共に歩いて行く印が輝いてるのに、そんなふうに思えて仕様がなかった。

彼も私と手を握りながら、改めてよろしく…と言ったし、気持ちは同じだったんじゃないかと思う。


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