旦那サマとは打算結婚のはずでしたが。
病院を出ても黙り込む私に気づき、彼が「未彩」と名前を呼ぶ。
手を握りながら、「どうかした?」と優しい声で訊き、その相手を振り返って、「ううん、別に」と微笑み返した。
彼の顔は少し心配そうだった。それを確かめ、空元気を出そうとした。
「明日、職場へ行ったら」
「未彩」
「え?」
呼び止められ、何事?と目を見張る。
すると肩を抱いた旦那様は私を抱き寄せて、髪を撫でながらこう言った。
「大丈夫。君のお祖母さんはもう病気じゃない」
声に驚いて大きく目を見開く。
そのまま顔を上げると彼が、あのことなら社長さんから聞いてる…と告白した。
「あのこと?」
ポカンとして聞き返すと、うん、と頷く相手。
その口元が動きだして喋り始めた話を、私は無言になって聞き入った。
「君と初めて会う前、永井さんから色々と話を聞いてたと言っただろ。
その時、君が腕のいいガーデンプランナーだということ以外に、お祖母さんが病気をして、君が叶えようとしてた夢を諦め、それをまだ実現せずに躊躇ってるみたいだ…と聞かされた。
手を握りながら、「どうかした?」と優しい声で訊き、その相手を振り返って、「ううん、別に」と微笑み返した。
彼の顔は少し心配そうだった。それを確かめ、空元気を出そうとした。
「明日、職場へ行ったら」
「未彩」
「え?」
呼び止められ、何事?と目を見張る。
すると肩を抱いた旦那様は私を抱き寄せて、髪を撫でながらこう言った。
「大丈夫。君のお祖母さんはもう病気じゃない」
声に驚いて大きく目を見開く。
そのまま顔を上げると彼が、あのことなら社長さんから聞いてる…と告白した。
「あのこと?」
ポカンとして聞き返すと、うん、と頷く相手。
その口元が動きだして喋り始めた話を、私は無言になって聞き入った。
「君と初めて会う前、永井さんから色々と話を聞いてたと言っただろ。
その時、君が腕のいいガーデンプランナーだということ以外に、お祖母さんが病気をして、君が叶えようとしてた夢を諦め、それをまだ実現せずに躊躇ってるみたいだ…と聞かされた。