次期院長の強引なとろ甘求婚
「すごい……綺麗……!」
思わず立ち止まり、歓喜の声を上げてしまう。
目の前に広がったのは、表からではわからなかったバラが咲き乱れる庭園。
様々なバラが入念に手入れをされ目を奪う。
「フラワーショップの方をお連れして楽しんでもらえるか不安だけど、そこそこ見て回れる広さだと思うんだ」
「いえ、何を言ってるんですか! これ、お庭と言うよりバラ園ですよ」
別荘の庭園というレベルは遥かに超え、どこか公園のバラ園を思わせる。
広さもだけど、とにかく多くのバラがそれぞれの特色に合った見せ方で管理されているのだ。
これはプロにかなりしっかり丁寧なお世話をしてもらっているに違いない。
『私を見て!』と言わんばかりにどのバラも美しい姿で咲き誇っている。
主役はもちろんバラだけど、花たちが映えるように、お庭も可愛らしく作られているのがまた素敵だ。
まさに、憧れのイングリッシュガーデン。
「バラ園は、言い過ぎじゃない? 人に開放しているわけでもない、完全に趣味の観賞用だし」
「そんな、勿体ないくらいです。この広さに、この美しい庭園とバラなら、お金を払っても見たい方たくさんだと思います!」
つい力が入って熱弁してしまう私を、三角先生は穏やかな眼差しで見つめる。
急に恥ずかしくなってきて、「すみません……」とか細い声で謝った。