次期院長の強引なとろ甘求婚
それから、二日が経った朝のこと――。
目覚めて手に取ったスマホに、あさイチで珍しく樹さんからのメッセージが入っていた。
毎日、必ず一度は何かしらのメッセージを送ってくれている。
【今日は午後から雨みたいだね】なんて他愛ないことから、【今日からうちの病院に看護実習生が来るよ】と、近況報告のようなメッセージなんかも送られてくる。
そのたびに何度かやり取りをしているけれど、私の心にかかった靄はそのまま晴れてはいない。
まだぼんやりとする視界の中で開いたメッセージには、思わず「えっ」と声を出してしまう内容が書かれていた。
【今日、いつもみたいな花束を病院まで届けてもらえるかな?話したいこともあるので、受付で呼び出してください。よろしくお願いします】
突然の配達依頼に一気に目が覚める。
休日を一緒に過ごしたあの八ヶ岳の日から、まだ一週間と少ししか経っていない。
それなのに、もうずいぶん会っていないような、すごく疎遠になってしまったような感覚に陥っている。
今日、樹さんに会ったら、どんな顔をすればいいんだろう……?
あの日は別れるのを惜しむほどまだ一緒にいたいと思っていたのに、今は心にかかった靄のせいで会うことが怖くも思える。
【後ほどうかがいます】それだけを返し、スマホをベッドサイドへと置き直した。