異世界から来た愛しい騎士様へ


 「………わかったよ、エルハム。君がしたことは正しい。困っている人に手を差しのべないエルクーリ家の者はいない。姫として立派な事だ。」
 「お父様!」
 「でも、自分を犠牲にしようとするのは止めなさい。」
 「………はい。申し訳ありません。」
 

 父ならわかってくれる。
 その気持ちが通じたのか、アオレン王はエルハムの行いを咎めることを止めた。エルハムのした事自体はアオレン王も正しい行いだと理解していたのだろう。


 「だが………王女が生きていたら、エルハムと同じことをしていただろうな。」
 「……お父様。ありがとうございます。」


 母のようになりたい。
 そう願っているエルハムにとって、父親の言葉はとても心に響く嬉しい言葉だった。
 非難され怒られると思っていた。
 けれど、自分のやって事を父はわかってくれていた。そして母親に少しは近付いたのだろうか。そう思えて、思わず涙ぐんでしまったのだった。



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