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「父、さん、俺………冬華が、好きだ」

「知ってる」
「知ってるよ」


二人の声が重なる


「お兄ちゃんはいつも冬華、冬華ってうるさいくらい!
冬華ちゃん見てニヤニヤして!
私達だって、大好きなんだよ!」

「秋月………」

「お前はもう諦めるのか?」

「俺…………」


俺は立ち上がって玄関まで駈け降りた
春月が「いやいや」って泣きながら、冬華に抱き付いていた

冬華も困った顔で泣いている
母さんも

俺は大事な人を泣かせてばっかりだ


わかってなかった
皆がどんな気持ちだったのか


冬華の四年間はどうだったのか
ちゃんと、知りたい


「冬華!二度と会いたくないかも知れないけど離さない!
俺はもう諦めたくない!
冬華の四年間教えて欲しい
俺の四年間も知って欲しい!
ちゃんと、話そう
殴ってくれていいから
貶してくれていい
冬華の感情、全部俺に教えて!
俺にチャンスを下さい!」


俺は冬華の手を取って玄関から外に出た
もう、離したくない


「冬華、家教えて」

「え?」

「家、出てきちゃったし、冬華今どこ住んでるの?」

「…………」

「言わないならどっかホテルにでも入ろう」

「え、いやっ……………」

「じゃあ、家教えて
悪いけど、絶対離さないよ」

「強引!」

「そうだよ、冬華が好きだから」

「………………っっ」


誤解させたくないから
わかって欲しいから


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