神在(いず)る大陸の物語【月闇の戦記】<邂逅の書>
『怒りにほたされるなレダ・・・・冷静さを欠くと魔物の思うつぼだ』
 感情を露にした美しき青珠の守り手、レダ・アイリアスを制すると、彼女と同じ青珠の森の守り手である青き魔豹リューインダイルは、ふと、何かに気が付いて鋭い爪を持つ四本の足を止めたのだった。
『・・・・リューイ?どうしたの?』
 揺れながら藍に輝く前髪の下で、怪訝そうに綺麗な眉を寄せ、レダは、そんなリューインダイルを鮮やかな紅色の眼差しで顧みた。
 青珠の森の青き魔豹は、その首をゆっくりと南の方角に向けながら、呟くように言うのだった。
『魔法を司る者が・・・近づいてきている・・・・・・』
 リューインダイルがそう言い終わらぬうちに、レダは、藍に輝く黒髪を疾風に翻し、秀麗な顔を厳(いかめ)しく歪め、森に茂る低い木々を軽やかに飛び越えてリューインダイルの視線の先へと俊足で走り込んで行ってしまったのである。
『待て!レダ!!』
 リューインダイルは、慌ててそんな彼女の背中を追い、緑に萌える木々の合間を疾走したのである。

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