神在(いず)る大陸の物語【月闇の戦記】<邂逅の書>
「ロータスの魔法使いも、貴女にはかないません、リーヤ姫」
「レッド・ポセイドンから帰ってきた貴方の様子が、いつもと違っていましたから、調べさせたのです・・・・・・お父様からどんな銘を受けて、貴方があの地に出向いたのか」
この気強くお転婆な姫君には、おそらく、何を隠しても無駄なのだろう・・・・
スターレットは、諦めたように肩をすくめると、ゆっくりと瞼を開き、再び真っ直ぐに彼女の美麗な顔を見つめたのだった。
「ご存知の通りにございます。古の封印は、既に解かれました・・・・二十数年前、アーシェ一族の末裔に双子が誕生した時点で、事は動き始めていました。
やがて、何らかの形で、あやつはこのリタ・メタリカに現れるでしょう」
そんな彼の言葉に驚くこともなく、リタ・メタリカの美しき王女リーヤティアは、何故か艶(あで)やかに笑ったのである。
「そんな事だろうと思っていました」
「・・・・・・・・・・」
スターレットは、返す言葉も見つからぬまま、ただ、困ったように知的な唇で笑った。
しかし・・・・
ごく少数の人間だけが知り、彼女自身がまだ知らないある重要な事柄がある。
だが、それはやがて、時がくれば彼女も知ることになるだろう事実。
さしあたって、今、彼女に話すことでもない・・・・
スターレットは、彼女の手を取ったまま、ゆっくりと宮殿へ向けて歩き出した。
煌びやかな星屑の宝石をまとう天空から、淡い月の光が夜風に舞っている。
これから巻き起こるだろう壮絶な戦いの、これが幕開けになる夜とは知らずに、ただ、淡々と湧き上がる静かな闇が、栄華を誇る大国の夜に横たわっていた。
「レッド・ポセイドンから帰ってきた貴方の様子が、いつもと違っていましたから、調べさせたのです・・・・・・お父様からどんな銘を受けて、貴方があの地に出向いたのか」
この気強くお転婆な姫君には、おそらく、何を隠しても無駄なのだろう・・・・
スターレットは、諦めたように肩をすくめると、ゆっくりと瞼を開き、再び真っ直ぐに彼女の美麗な顔を見つめたのだった。
「ご存知の通りにございます。古の封印は、既に解かれました・・・・二十数年前、アーシェ一族の末裔に双子が誕生した時点で、事は動き始めていました。
やがて、何らかの形で、あやつはこのリタ・メタリカに現れるでしょう」
そんな彼の言葉に驚くこともなく、リタ・メタリカの美しき王女リーヤティアは、何故か艶(あで)やかに笑ったのである。
「そんな事だろうと思っていました」
「・・・・・・・・・・」
スターレットは、返す言葉も見つからぬまま、ただ、困ったように知的な唇で笑った。
しかし・・・・
ごく少数の人間だけが知り、彼女自身がまだ知らないある重要な事柄がある。
だが、それはやがて、時がくれば彼女も知ることになるだろう事実。
さしあたって、今、彼女に話すことでもない・・・・
スターレットは、彼女の手を取ったまま、ゆっくりと宮殿へ向けて歩き出した。
煌びやかな星屑の宝石をまとう天空から、淡い月の光が夜風に舞っている。
これから巻き起こるだろう壮絶な戦いの、これが幕開けになる夜とは知らずに、ただ、淡々と湧き上がる静かな闇が、栄華を誇る大国の夜に横たわっていた。