【完】君と一生を

胸の内



夜にはロンが帰ってきて、皆でご飯を食べた。

あれからまた数日経ったが、シンはボーッとすることが増えた。

心ここに在らず、それがピッタリだった。

そんなシンを心配する三人。

だが心配させているとも知らず、

シンはファミリアがいなくなったことへの、消失感でいっぱいになっていた。

そんなある日。

夜寝室に入った後、シンはひとりだけ眠れなかった。

シンは布団からでてリビングに行く。


この頃ぐっすりと眠れない。

前まであんなに好きだったゴロゴロすることもあまりしなくなっていた。

ファミリアが来る前に戻っただけ。

前の日常を繰り返したらいいだけ。

そう思っていても、もう前には戻れなくなっていた。

ファミリアの面影を探す。

料理をする時はいつも隣に居て、笑い合いながら準備をしていた。

そういえばファミリアは最初に食べた親子丼を凄く気に入っていた。

ファミリアの名前を呼ぶと、満面の笑みで振り返って返事をするんだ。

それが嬉しくて何回も呼んでいたな。

そうだ、ファミリアもゴロゴロするのが好きなんだ。

だからピクニックの時も、何もすることがなくなった時も一緒に寝っ転がってゴロゴロしていた。

そんなことを考え、

シンがファミリアを想っていると、知らない間に涙が溢れていた。


「俺は、ファミリアが好きだ。」




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