黒王子に恋をして。
沙耶とは多分私が今朝起こった相手の名前だろう。





「いや、あの、き、キレてはないです...。ただ許可なく勝手に撮ってたので...」

「ふ〜ん」





そう言うと私を呼んだ先輩の手が動くのが見えた。

叩かれる、そう思って目をぎゅっとつぶった。

が、痛みは一向に来ない。





「叩きなんかしないわよ(笑)今朝あなたがキレてくれたおかげで助かったわ」





目の前には先輩の手。

きっと握手をしようということだろう。

私は先輩の手をそっと握った。
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