あまい・甘い・あま~い香りに誘われて
エプロンを着けて、手洗いすますとお店のカフェスペースで母が手招きをした。

母の向かい側には、母と同い年くらいの綺麗な女性が座り、二人でお茶をしているところだった。

「こんにちは」

お客さまに挨拶をすると

「こんにちは。
おーきくなったわねあおちゃん。」

と話しかけられた。

「忘れちゃったかしら?隣に住んでいたこっちゃんのママ」

「あっ!こっちゃんママ!?」

優しくて綺麗なこっちゃんのお母さんを私はこっちゃんママと呼んでいた。

「すっかり、可愛い女の子になって。
びっくりしちゃったゎ」

「葵、奈津美さんにはすごく可愛がってもらってたものね。
奈津美さんね、再婚されて8月にこちらにまた引っ越してきたんですって。」

「えっ!本当!じゃあこっちゃんもこっちに来てるんですか?」

「まだ会ってない?
たしかあおちゃんと同じ高校に転入したはずなんだけど」

「同じクラスに男の子の転校生は来ましたけど…何組に入ったのかな?
こっちゃんすごく可愛かったから、すっごく可愛いい女の子になってるでしょ?会うの楽しみ!」

「えっ?葵…」

何か言いかけた母をこっちゃんママは唇に指をあてて「しっ」と遮った。

「学校で会えるといいわね。
会うの楽しみにしてたわよあのこも。」

ふふっと優しく微笑んだこっちゃんママの笑顔がふと誰かと重なったような気がして私はそれが誰なのかわからずにいた。
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