夏色の初恋を君にあげる




そうして連れてこられたのは、ひとけのない非常階段の踊り場。


ようやく手が離されたところで、私は由良くんを仰ぎ尋ねた。


「ねえ、話って?」


「ああ、明日は、水曜だけど大会前で部活があるから図書室行けないって伝えたくて」


どんな重大なことを告げられるのかと内心ヒヤヒヤしていた私は、ほんの少し拍子抜けするような内容に胸を撫で下ろした。


「もう、改まった感じだからびっくりした」


「はは、ごめんごめん」


あんまり悪びれる様子もなく、なぜか可笑しそうに笑う由良くん。



だけど私も由良くんに用があった。

明日は会えないと言うのなら、今がチャンスだ。


「由良くん」


「はい?」


「これ、由良くんに」


そう言ってスカートのポケットから取り出したのは、小さな紙の包み。

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