夏色の初恋を君にあげる
だけど、そんな日に限って水曜日。
図書委員の仕事がある日だ。
図書室にいれば、きっと由良くんと顔を合わせることになるだろう。
一度は、だれか他の人に係を代わってもらおうかとも考えたけれど、いつまでも避けてはいられない。
苦渋の末、私は腹をくくることを決めた。
お幸せにって笑顔で言わないと、由良くんへの恋心にがんじがらめになっていつまでも動けなくなる気がしたから。
放課後を迎えるなり向かった図書室は、いつもどおりだれもいない。
なんとなく落ち着かなくて、気を紛らわせるように窓を開けて換気を行う。
顔を上げれば空は、ここで由良くんに出会った日と同じ鈍色に染まっていた。
由良くんと雅、すごくお似合いだった。
由良くんなら間違いなく雅のことを幸せにしてくれるはずだ。
そう前向きに考えようとする心の一方で、隠しきれない反対の気持ちが窓に掛けた手の動きを止める。
……いつまでもひとりの時間が続けばいい。
そうすれば私はこの想いを押し殺さないで済むのに。