女を思い出す時
次の日の朝 登校してきた翔に
視線が集まっていた。

ちょっとめっちゃかっこいいんだけど

私はもう間違いなく 翔に恋してた。
だから翔が素敵に見えてときめいてしまっている。

「のんちゃん おはよう~」

「あ おはよう。」

「ね 篠塚くん すごい女子の視線
独り占めしながら 教室まで来たよ。
昨日までめっちゃ根暗そうだったのに ずいぶん
思い切って前髪切っちゃったんだね。」

「ほんと びっくりした。」
思わず口を開いてしまった。

「え?」
くるみが覗き込む。

「いや イメチェンだったなって。」

「え~~もしかしたら~~」
くるみの顔がいじわる~~な顔になった。

「うるさい。」
くるみの小さな口を手で抑えた。

「何があったのかな。
昨日の今日で……のんちゃんの心を
わしづかみって。」

後ろでケラケラ笑ってるくるみは
嫌味がなくて許せた。

何でも話せる数少ない親友の一人
くるみには 本当にお世話になった。


篠塚 翔は その日から一目置かれる存在になった。
暗い目は私の思い違いだったんだろうか

明るくて活発で 勉強も運動もできる。
そしてよく告白されていた。

その告白を断ったと知るたびに胸をなでおろす。

「翔くん!!」
男子からも女子からもそう呼ばれた。

まだ幼い中学一年生の中でも大人っぽい翔は
別格に見える。

玄関で 男子の先輩たちにつかまることもあったけど
部活の誘いがほとんどで
たまに 先輩女子に頼まれて 連絡先を聞かれたりしてた。

「すいません。僕 携帯持ってないんで。」

「部活は しません。」

人気者は大変だと思った。

私も背が高いから バスケ部とバレー部から
声もかかったけど
放課後は 塾や英会話教室 ピアノ
習いものに縛られていた。

翔はどこの塾に行ってるんだろう。

あれからまともに 話す事ができなかった。
翔の存在は遠くなっていった。
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