女を思い出す時
「のんママ
もう足痛いんだから仕事辞めたら?」

真美が心配する。

「だってパパ 別に
のんママ仕事しなくてもいいでしょ?」

「そうだよ。ダイエットと騒ぐなら
ジムでも通えばいいのに。」

焼肉を頬張ってる私に心配する二人。

「ジムなんてもったいないもん。
仕事してたら体動かせるし・・・・
お金もらってダイエットできる・・・・」

と言いかけたら

「痩せてないし~~」
真美がつっこんだ。

「おいおい~~」
真美の夫 恒彦が慌てたように言葉を遮る。

「なんかね患者さんからいろいろと
頂いちゃうのが悪いのかな。」

「紀香は いいんだよ。
ただ健康にだけ気をつけてくれたら。」
夫はいつも優しい。

「パパ そうやって豚に餌食べさせて
よくない よくない。」

「真美~~やめろって~~」
恒彦が口を押える。

「まーちゃん ひどいわ。」
私はそう言いながら もう一口肉を頬張る。

「いいんだけどね
膝痛いって言うんだもん。心配なの。
のんママには絶対 パパより長生きして欲しい。」

わかってる
辛口の真美が私を必要としてる事。

「それにね のんママめっちゃ綺麗だったんだよ。
ツネ 知らないでしょ。」

「いやいや 今も可愛いから~~。」
慌てる恒彦がおかしくて笑った。

「初めて会った時の事 まだ覚えてる。
綺麗なおねえちゃんでいい香りがして・・・・
面白くて優しくて……髪の毛可愛く縛ってくれた。」

「感心するけどよく覚えてるのね。
私が綺麗だったって事も。」

「紀香は 会社の中でも有名だったからね。
今は少し ふくよかになって愛らしさが増したよ。」

夫の褒め殺しに 恒彦はいつも目を白黒させる。

「おとうさん その愛の言葉
恥ずかしくないんですか?」

「ツネくん 愛してたらこんな言葉は
挨拶変わりにどんどん出るよ。」

「ツネ 私の事愛してないから
誉めてくれないの?」

我家は笑いの絶えない幸せな家族だった。
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