女を思い出す時
大人の階段・・・・・・
幸いにも 表面的には進学校だったから
くるみの学校のように
大人の会話をする人はいないし

次のテストの話や部活や生徒会
青春を真面目に生きているようなそんな学校

相変わらず翔は 学年トップ
朝夕の新聞配達を続けながら 恵まれない家庭で
育っているとは思えないくらい
クラスの中心にいた。

初めて翔と出会った時 暗い目に感じたのは
私の勘違いだったのかな

たまに出会ったころを思い出すと
今の翔とは全く違う翔を思い出す。


二年になり 大学進学を真剣に考え始める。

「翔は 大学まだ決めてないの?」

「うん 先生にもプレッシャーかけられてるけど
なかなかね・・・・・。」

翔はあまり家の事になると話たがらず
それは私も同じだったから お互い空気を読んで
それ以上の会話をするのをやめていた。

「紀香は?」

「翔と同じとこ 行きたい・・・・。」

「ん~~~~。」
困る 翔

「ごめんね。」
わかってるんだけど 大学の四年間
翔と一緒にいたい その気持ちだけは大きくなる。

翔の家庭環境がよくないのはわかってる。
生活が困窮してるから 翔は アルバイトをしてるし
中学の頃 市から援助をうけていると噂で聞いた。

明るくて真面目で優しくて
そんな翔に隠された闇

でもいつしかその話をおもしろおかしく
言う人間もいなくなっていた。

家庭の事情
それに負けず 真っすぐな翔を誰も
傷つける人間はいなくなった。


お金持ちでも 親の愛情を受けられてない私の不幸と
何の変わりもない。
金があってもなくても ひねくれる事なく
真剣に生きてる そんな翔を見てると
自分が恥ずかしくなる。

私も翔にいつも愛されるように
ちゃんと生きたい それが私の支えだった。

不意に触れた唇
驚いて 翔を見上げる。

「今 チャンスだったから。」
恥ずかしそうに翔が笑う。

「短い・・・・。」
周りを見渡して 今度は自分からキスをした。
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