女を思い出す時
夫は私に寛大だと思う。
間違いなく40前から少しづつ肉がついてきて
真美が怒るように
昔 綺麗だったみたいな過去形になってるのは認める。

太るのは オヤツとストレス

「ストレスなんてあるの?」
真美が目を丸くする。

「ん~~~まささんが優しすぎるからかな。」

「パパは のんママのこと愛しすぎてるよね。」

そうだね そうなのかな・・・・・。
いや 真美はわかってないよね。

私を見てないんじゃないのかな
どうでもいいんじゃないかな。

優しくて素敵な夫
妻想いで子煩悩で 仕事もできる。
人望もある。

反対に聞かれたら?

私は夫を愛してる?
う・・・・・・ん・・・・・・
悩む なんて表現したらいいんだろう。

愛してるとは違うんだ。
でもうまく表現ができない。

夫は 真美の母親を今でもきっと一番愛してる。
もし私が愛されてるとしたら 二番目かな・・・・
三番目かもしれない・・・・・・。

命日の日は 遅くまで書斎にこもって
元妻の思い出に浸りながら べろべろに酔って
ベッドに戻ってくることはない。

そんな関係にも嫉妬する事もない私は
変わっていると数少ない 短大時代の友人
三浦 里奈は 呆れる。


「紀香ってご主人のこと愛してるの?」

月二回 里奈と話すのは
私のストレス解消の一つ。

「うん・・・・。」

「私なら耐えられない。
いつまでも死んだ人の事想って
それを許せなんて言うなんて!!」

「仕方ないよ 愛してたんだろうし
まささんの奥さんで真美のママだもん
怒るなんてありえないでしょ。」

「そうだけど あり得ないな。
だいたい紀香は変わってるんだと思うわ。
冷めてるって言うか・・・・。」

冷めてるとはよく言われる言葉

私が本気で生きてるって思ったのは
翔と過ごした年月だった気がする。

どこかに忘れてきた私の熱いもの
もう取りに行くこともない・・・・・・。

あの時私は抜け殻になって
本当の私を置いてきてしまったんだ。


だから元妻に縛られ続ける夫を許せるのかもしれない。

私もあの過去にまだ縛られてるから・・・・・・。
もう二度とあんなに人を愛する事はないから。
< 6 / 77 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop