先生と準備室 後編
「うぅ…も…やだ…」

泣きたいのは凌久だよね。

人の彼女が他人にキスされて。

だけど、私の目からは涙が止まらないんだ。

「ごめんね…凌久…こんな女…
ごめん…ごめんッ…」

ひたすら、川村くんにキスされた自分の

唇を手で擦る。

「やだよ…こんな唇…も…自分も…やだ…」

体は触れられていないのに自分の体

までもが汚く感じて…。

「ッ…!イタ…」

もう、私の唇は擦りすぎて切れてしまった。
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