好きになっては‥‥いけない人

⑨・・目を覚ます


事故から一週間がたった。

お母さんは、姉に付き添い
お父さんと私は、病院と仕事に
通う日が続いていた。

大輝さんも仕事の合間に
姉の病室に来てくれている
ようだが、私とは被らない。

私が‥‥さけているから・・・




・・・朝・・・



お母さんから
『芹那の意識が戻った。』
と、LINEがきた。

私は、仕事が終わってから
姉の病室に
「お姉‥ちゃん‥」
「花。ごめんね、心配かけて。」
と、言う姉に
私は首を横にふる。

すると、お母さんが
「明日、もう一度、検査して
退院が決まるみたい。」
「‥‥そう。良かった。」
と、話していると

“コンコン” とノックの音

母が「はい」
と、答える・・

入って来たのは・・大輝さん・・

大輝さんは、姉の意識が
戻っているのを知らなかったみたいで
姉が座っている姿を見て
びっくりした顔をした。

病室の隅にいる私に気づき
私の顔を見て
悲しそうな・・顔をした・・

大輝さんが私に何かを・・

  言い掛けた··とき・・・

「大輝きてくれたの?」
と、顔を赤らめて言う姉

その姉の態度?言葉使い?
何か・・おかしい・・
そう感じたのは私だけではない

母も······大輝さんも·····

「ああ、意識が戻って良かったな。
痛みは?」と、大輝。
「う~ん、あまりないかな?
私、一週間も意識なかったんだね
どんな事故をしたのかな?」
と、言う姉に
「えっ、芹那っ、覚えてないの?」と、母。
「う~ん、あんまり。
あっ、お母さん紹介するね。
こちら、同じ会社で仕事を
していて·····
   ······私の彼······」
と、母に言いながら
愛しそうに大輝さんを見上げる姉
お母さんも、えっと言う顔を
するが‥‥
「‥そっ‥そうなの?芹那の母です。」
と、言う母

続いて姉は、
「私の自慢の妹の花よ。」
と、言うから私は、
「はじ・・はじめ‥まして
   妹‥の‥花‥‥です。」
と、言った。

大輝さんは、
私にも母にも無表情に頭を下げた。

そんな三人の雰囲気にも
かかわらず姉は
「お母さん、少し疲れちゃった
横になっても良い?
大輝も花も来てくれたのに
ごめんね。」
と、言う姉に
「嫌、俺は大丈夫だから
   ゆっくりしたらいい。」
と、大輝さんが言うと
姉は大輝さんに微笑んで
目を閉じた。

姉が目を閉じると
母の合図で、私達は病室から
外に出た。

三人には、重い空気が流れる······
誰も、何を言って良いのか
模索して······いる·······
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