甘くてやさしくて泣きたくなる~ちゃんと恋したい
そういうことか。

運命なんてそう簡単に訪れるものじゃないなんてわかってたはず。

それなのに、ちょっとばかしのラッキーが重なって運命だんなんて安易に思ってしまった自分が情けない。

これは誰がどう見ても完全なる失恋だよね。

初めての一目惚れは、淡くも儚く散っていったってわけだ。

彼女は、間宮さんにとてもお似合いの女性だった。

二人とも美しくて、背の高い間宮さんにちょうどいいくらいの背丈の女性。

私は背が低いから、並んだら大人と子供みたい。よく考えたら笑っちゃう。

それにあの二人の落ち着いた雰囲気は、恋人なんかじゃなくもう結婚してるのかもしれない。

だって一緒に飼ってるみたいだったもの、ぷーすけ。

ぷーすけ、か。

あの丸い顔で舌をベロンと出して笑っていたぷーすけを思い出したら、少しだけ癒された。

二人には似つかわしくない名前だな、なんて思いながら読みかけの恋愛小説をリュックに直す。

私もいつか間宮さんみたいに素敵な人と二人並んで歩くことなんかできるんだろうか。

その前に、私みたいな人間を好きになってくれる人がこの世に存在するのかどうかがそもそも怪しい。

私はリュックを背中にかけベンチから立ち上がった。

早く忘れなくちゃ。間宮さんのこと。
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