桜の木に寄り添う

夢の時間

ドアを開けた途端、可愛い女の子と鉢合わせ。
 その人は、びっくりした顔で目を丸くしていた。

「ちょっ!!おにぃ!!!」

 ヒロキくんは、そそくさと私を後ろから押してエレーベーターに乗る。

「大丈夫だったの?ていうか妹??」

「うん。たまに勉強でここ使ってるんだ。あとで電話しとくから 」

「妹いたんだね。私、知らない事多いなー」

「これから知ってくれればいいよ!」

「えっ」

「さぁ、どこ行こうか!」

「んー、タワーに行きたい!」

「了解」

 私達は車に乗りタワーへ向かった。


「わあー!!すごいね!あれに登るんだよね!」

「行ったことないの?」

「ない!!!」

 テレビや雑誌では、何度も見たことがあるのに一度も来たことがなかった。
 私はたぶん、見れてないもの、経験たくさんあるんだろうな。

 もう大人なのに……。
 お母さんにも見せてあげたかったなー。

 こうなるのならもっとたくさん一緒に行けばよかった。
 いろんな事に気づけばよかった。

 エレーベーターに乗り、展望台へ。

「すごい」

「今どき、来たことない奴いるんだな」

「ここにいますけど?」

 二人で笑った。

 この景色。人が小さくて遠くまで見える。
 あのメモの事もそうだけど、いろんな事がとてもちっぽけな事に思える。

 一緒に来れてよかった。
 前までの私はこんな日が来ること。思いもしなかった。

 協力してくれたり、いつも助けてくれる人がそばにいてくれる。
 私は、一人じゃない。そう思わせてくれる。
 幸せ者だね。

 なんだか夢みたい。こんな夢がいつまでも長く続くといいな。
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