身ごもり政略結婚
ふと目を覚ませば、もうあたりが暗くなっていた。
「何時?」
枕元に置いてあったスマホで時間を確認すると、もうすぐ二十時。
「夕飯……」
作らなくちゃ。
大雅さんから【二十時半には帰る】と知らない間にメッセージが入っている。
慌ててキッチンに行ったものの、掃除を無理して頑張ったせいか気分が悪い。
彼の好きなかれいの煮つけでも作ろうと思っていたのに、魚の匂いだけでトイレに駆け込んだ。
おまけに、セットしてあった炊飯器が湯気を上げ始めると、いっそうブルーになる。
ご飯が炊ける匂いがダメなんて、なにもできない。
つい数時間前にお腹に宿る命に感動して頑張ろうと思ったところなのに、つらすぎて気持ちが前を向かない。
それでも時々座り込みながら調理を続ける。
しかし、すべてできあがる前に大雅さんが帰ってきてしまった。
「結衣!」
「おかえりなさい」
心配かけないようにシャキッとしているつもりだったのに、間が悪いことに吐き気に襲われてトイレにいた。