身ごもり政略結婚
「それじゃあ目を閉じて。まだ少し仕事が残ってるから、なにかあったら呼んで」
「はい。おやすみなさい」
家に帰ってきても仕事の書類と格闘している彼の負担にはなりたくない。
せめて、お腹の子の母親として愛してもらえれば……。
愛がなくてもそれなりにやっていけると思っていたのに、不安な今ははっきり愛されていると感じたくてたまらない。
彼が私に向けている感情は、男女の間にある愛とは違うとわかっているのに。
大雅さんが部屋を出ていったあと、スマホを握りしめて考える。
これで電話をかけたらすぐに来てくれる?
ただ一緒にいてほしい。なんてわがままを言っても、仕事を放りだして優先してくれる?
そんなことを口にできるわけがない。
答えはNOに決まっている。
ダメだ。さっきお義母さまにあんなことを言われて気が弱っているんだ。
今はあれこれ考えるのがつらくなり、目を閉じて現実逃避することにした。