身ごもり政略結婚
男の子をと強く望まれたことは伏せておいた。
そもそも千歳を助けてもらう代わりに、跡取りを産むよう望まれていたのはわかっている。
今さら期待しないでとは言えない。
「そっか。顔が真っ青だから」
「ごめんなさい。吐きそうで」
本当は違う。
彼が帰ってきてくれて、ぐんと調子が上向いていたのに。
――電話をするまでは。
「無理させたな。ごめん」
眉間にシワを寄せて自分が苦しいかのような顔で謝られて、嘘をついたことが申し訳なくなる。
でも、男の子をと強く言われて荷が重いなんて言い出せない。
大雅さんは私を布団の中に促したあと自分は隣に座り、優しく何度も頭を撫でる。
大切にされていると感じられてうれしいのに、それが私自身ではなく、後継ぎをお腹に宿しているからかもしれないと思うと、胸が痛い。
「結衣、眠れそう?」
まるで小鳥のさえずりのように優しい声で聞いてくれたのに、気持ちが沈んだままでうなずくことしかできない。