身ごもり政略結婚

「前に鉄仮面がはがれかかっていると申しましたよね。あれは――」


話の途中でドアが開いて大雅さんが戻ってきたので、麻井さんは何事もなかったかのようにスッと立ち上がる。


「麻井。話はついた。あとは先方の秘書と詰めてくれ」
「かしこまりました。それでは私は失礼します」
「助かったよ。ありがとう」


大雅さんの声にあわせて私も会釈をすると、麻井さんはニコッと笑って帰っていった。


「結衣。平気か?」


彼は再びイスに座り、顔をのぞきこんでくる。


麻井さんの話を聞いたからか、私じゃなくてお腹の子が心配なんでしょ?とは思えなくなった。

きっと、私とどう接したらいいのかわからないのだ。
そして私も同じように戸惑っているから、なかなか距離が縮まらない。

甘えてみようかな。
でも、恥ずかしいな……。


「少し顔色はよくなってるようだけど、吐き気や頭痛は?」

「治まっています。……大雅さんがそばにいてくれると、軽くなるんです。多分、安心するからだと思うんですけど」
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