身ごもり政略結婚
思いきってそう伝えると、彼の目が大きくなった。
「俺、が?」
「ごめんなさい。なんでもありません」
一旦は本音を口にしたものの、やっぱり撤回。
麻井さんは甘えてみてなんて言っていたけれど、私のひと言で彼が仕事の量を減らすとも思えないし、面倒だと思われるだけだ。
麻井さん、甘えるって難しいよ。
「そんなことで、軽くなるのか?」
「えっ?」
「俺、なにもできないぞ。この点滴よりずっと役に立たない」
「点滴って……」
思わず笑みを漏らすと、俺は私をまっすぐに見つめて頬に優しく触れてくる。
すると途端に心臓がバクバクと音を立て始めるので、また体調が悪くなったかと思いきや、そうでもない。
なんなの、この胸の高鳴りは。
「それでもいいのか?」
それって、もっとそばにいてくれるということ?
「もちろんです。私……こんなに吐いて赤ちゃんがちゃんと育つのかと不安になってしまって。ママ失格なんじゃないかって、そんなことばかり考えて――」