身ごもり政略結婚

「えぇ。それだけじゃないんです。おふたりとも育児本を読みつくして、アレルギーについて考えたそうで。今、エール・ダンジュで乳製品や卵、あとは小麦粉を使わないケーキも開発中です。いつかラウンジでもお出しできるようにと」

「それはすごい!」


育児本からそこまで話が発展するのは、さすがというかなんというか。


「でも、専務は千歳の和菓子にもその一端を担ってほしいとお考えです。生クリームがダメでも餡なら食べられるお子さんもたくさんいますからね。奥さまに子供向けの和菓子をいつか考えてもらうと意気込んでいますよ」


私……自分だけ役に立てずひとりぼっちな気がしていたけれど、大雅さんは本当に待っていてくれるんだ。


「あっ、少々失礼します」


麻井さんは電話が入ったらしく部屋を出ていく。
しかしすぐに戻ってきた。


「体調はいかがですか? もし大丈夫なら、はさみ菊が到着したようですのでご案内いたします」
「はい、行きます」
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