身ごもり政略結婚
そう考えたら気持ちが引き締まり、自然と背筋が伸びた。
「このたびは千歳の和菓子をご検討いただきありがとうございます」
「ご結婚、驚きましたよ。須藤専務は独身主義だと思っていましたから」
「そうでしたか……」
和菓子のことでなく結婚の話になり一瞬顔が引きつったものの、笑顔を作った。
「仕事の成功のためなら手段を選ばない方ですし、奥さまも気苦労が絶えませんね」
「どういうことでしょうか?」
発言の真意がわからず首を傾げる。
「どういうことって……。そのままの意味です。この企画に関しては私が全面的に責任を負っていまして、最終的な採用権も私にあります。もう一社といい勝負をしているんですよね。どちらに転んでもおかしくない状態です」
「……はい。千歳を採用していただけますよう、全力で取り組んでまいります」
仕事上の話をしたものの、なぜかあざ笑う彼女は他にもなにか言いたげだ。