身ごもり政略結婚

その少しうしろに赤池さんもいる。


私は麻井さんとともに最後列の席に座り、大雅さんの話に耳を傾けた。

挨拶から始まり、話はどんどん進行する。
千歳の和菓子の特徴などについて大雅さんが次々と話していくが、訂正が必要なことなんてひとつもない。

ここに父がいたとしても、口を挟むことはなかったはずだ。


「――エール・ダンジェが千歳を強く推しますのは、味の繊細さと、職人の技術の高さが大きな要因です。本日お持ちしましたこちらのはさみ菊は、練り切りを細工して作られたものです。はさみ一本で一枚一枚の花びらを再現しておりまして、観賞用としての価値もございます」


大雅さんが紹介すると、会議室の中がざわつく。


「こんな和菓子は見たことがないですね。素晴らしいなんていう言葉では足りないくらいだ。海外では、和服や和食など日本の伝統文化に興味ある人が増えていて、スイートに作った茶室も大盛況です。この技術も高く評価されること間違いなしです」
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