身ごもり政略結婚

八坂社長が褒めてくれるので、ホッとひと安心。

けれど私の目はずっと赤池さんに釘づけだった。


もし八坂社長が気に入ってくれても、責任者の彼女がもう一社と言えばそちらに転ぶの?


「ありがとうございます。弊社としましてはいつか職人による実演もできたらと考えております」

「それは集客の大きな目玉になりそうですね」


別の人からも声が飛ぶ。


「はい。それに、千歳を推すのはもうひとつ大きな要因がございます。それはこのはさみ菊の案を出せる人間がいるということです」
「え……」


小さな声が漏れてしまった。

それって、私のこと?


「いくら技術があっても、お客さまにどう興味を持っていただくか。もしくは和菓子に興味がない方がどうしたらこちらを向いてくださるか。ということを考える力がなければ、未来はありません。そのための努力を惜しまないのが千歳なんです」


ハッとして大雅さんを見つめると、視線が絡まる。
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