身ごもり政略結婚
私はただ、大雅さんに近づきたかった。
妻となったからには、彼のことをもっと知りたかった。
だから彼が一番大切にしているエール・ダンジュを知ることから始めた。
「正直、俺に求められているのは金と地位だけだと思ってた。でも結衣は……カードを渡しても自分のためにはちっとも使わない。それどころか、俺の好きな和食の研究をしてそのためにばかり使う。おまけに俺が飯を食うのを見て満足そうな顔までしているのが不思議だった」
将来の社長だからと近づいた女性は、彼自身ではなく、彼の地位や経済力を愛していたのだろう。
大雅さんを裏切った元婚約者も、結局は須藤家の財産狙いだったし。
そんな環境で生きていたら、女性不振になっても不思議じゃない。
でも、そんな人間ばかりではないと知ってほしい。
「大雅さんが喜んでくれるのがうれしいんです。私……これでも大雅さんの妻ですから」
そう漏らすと、彼は切なげな表情を浮かべる。