身ごもり政略結婚
「俺……昔好きだった女に裏切られて、二度と誰かを好きになるなと自分に言い聞かせていた」
「大雅さん……」
彼が経験した裏切りは、聞いているだけで胸が痛くなるようなひどいものだった。
それを引きずっていたとしても、誰も責められない。
「だから、結衣にも、きっと冷たい態度をとっていたと思う。それは本当に申し訳ない。でも、一緒に生活しているうちに、どんどん結衣に惹かれていった」
惹かれて? 私に?
「俺が冷たく接しても必ず笑顔で返してくれる結衣が愛おしくて。しかも、俺が情熱を注いでいるエール・ダンジュの歴史や、商品の一つひとつについて調べてくれているのがうれしかった。俺のことを理解しようとしてくれているような気がしたから」
『愛おしくて』という言葉に、心臓が跳ねる。
本当なの?
でも、内緒であれこれ調べていたのに気づかれている……。