身ごもり政略結婚
「俺……政略結婚だとか後継ぎがいるとか予防線を張ったんだ。それなら、結衣が財産にしか興味がなかったとしても、俺も愛していたわけじゃないと言い訳ができる。呆れるだろ」
初めて彼の胸の内に触れ、顔が険しくなる。
そんなことをしなければならないほど、彼の心はズタズタにされたのだ。
「子供を授かったと聞いたときは、飛び上がるほどうれしかった。だけど、自分から政略結婚なんて言い出したから、今さら好きだとは言えなかった。結衣は千歳のために嫁いできたんだし」
私たちは同じ方向を向いていたのに、すれ違っていたんだ。
「私……」
大雅さんが私に〝好き〟という感情を抱いていたなんて、胸がいっぱいでなにを言ったらいいのかわからない。
なにかがこみ上げてきて呼吸が乱れると「結衣?」と目を真ん丸にする彼が、私の背中に手を置いた。