身ごもり政略結婚
赤池さんに『仲がいいんですよ』と煽られて、冷静になれなかった。
大雅さんのことをよく知らない自分に自信がなかった。
「私、彼女に大雅さんとの関係を匂わされて……」
「関係? そんなものは仕事だけだ。……プレゼンのときか」
正直にうなずくと彼は苦々しい表情を浮かべる。
「だから様子がおかしかったんだな」
「ごめんなさい。私、大雅さんのことを疑ってしまって……」
「当然だ」
彼は眉をしかめて、私の手を強く握る。
「命がけでお腹の子を育ててくれている結衣に余計な心配はかけたくなくて、彼女とのやり取りは黙っていた。まさか、それがあだとなるなんて。あの日のこと、麻井に電話して聞いてみる?」
「そんな必要はありません。大雅さんのことを信じます」
どう考えても彼が嘘をついているとは思えない。
でも取引は?
これがきっかけで千歳の和菓子だけでなく、エール・ダンジュの取引まで打ち切られたらどうするの?