身ごもり政略結婚

「ただ、最近は傍若無人ぶりが目に余ると社長も気にしていたようなんだけど……。今晩一緒に過ごせば、即決してもいいと耳打ちされた。彼女は俺と結衣の結婚が気に入らないみたいだったから、多分俺たちの間を引き裂きたかったんだと思う」

「そんな……」


自分がアプローチし続けていた大雅さんが私とあっさり結婚したから、腹が立ったのかもしれない。
でも、あんまりだ。


「俺……無性に腹が立って、『俺を見くびるな』と啖呵を切ってしまった。千歳のことを考えれば抑えるべきだったのに、我慢できなかった。すまない」


ということは……なにもなかったの?


私はとっさに首を横に振っていた。
むしろ、怒ってくれたことがうれしくてたまらない。


「そのあと、待たせておいた麻井と合流して、対応を練っていた。だから遅くなった」


麻井さんも近くにいたのか。
私、とんだ勘違いを……。
< 220 / 322 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop