身ごもり政略結婚
「あのっ、もしその契約がダメだった場合は……」
急に不安になり、慌てて尋ねる。
「私が責任をもって契約にこぎつけます。味や品質は申し分ありません。ただ、見た目のバリエーションを増やしていただかなければならないかもしれませんが、ご協力いただけますか?」
『契約にこぎつけます』と断言する須藤さんは自信にみなぎっている。
できる人のオーラを感じる。
「それはもちろんです」
父の瞳が潤んできたのに気づいて、私も胸がいっぱいになる。
経営にはまったく明るくない父だが、職人として必死に頑張ってきたことを知っているからだ。
これからは和菓子の作成に集中すればいいなんて、願ったりかなったり。
けれど、話がうますぎて安易にのっていいのかと、まだためらいもある。
「結衣さん、なにか気になる点があればなんなりと」
私が顔をしかめているのに気づいたのか、須藤さんが話を振ってきた。