身ごもり政略結婚
「性別は産まれるまで聞かないことにした」
「えっ! 楽しみにしてるのよ?」
「それは〝男の子〟をだろ?」
大雅さんがいてくれてよかった。
私だけなら心で泣いて終わりだ。
「そりぁそうでしょ。念願の跡取りなのよ?」
お義母さまの言葉に、大雅さんは盛大なため息をついてから口を開く。
「それがどれだけ結衣の負担になってるかわからない? 俺は元気な子が産まれてきてくれることだけを祈ってる。性別なんてどっちでもいい」
「でも……」
「大事なのは、男か女かよりエール・ダンジェを愛する気持ちだ。会社に興味がないのなら継がせるつもりはない」
大雅さんがあまりにきっぱり言い切ったからか、お義母さまは目を丸くしている。
「継がせるつもりはない?」
「そうだよ。エール・ダンジュを大切に思う人間にしか譲りたくない。この子が男の子だったとしても、別の道を歩きたいと望めばそうさせる。女の子でも継ぎたければもちろん考える。親父はどう思う?」